ことり

校閲の鬼、瀬戸内ことりです。

この記事はこんな方におすすめ

  • ことりの添削ではどんな点を指摘されるのか気になる方
  • 伝わる言葉で記事が書けるようになりたい方
  • ことりの文章に関心のある方

ポイント1. 難読漢字や難しい言葉・表現を避ける

  • どんな読者さんを想定して書いた記事なのか
  • どんな読者さんの悩みを解決する記事なのか
  • どんな読者さんにリピーターになってほしいのか

などによって使い分ける必要はあるものの、総じて「やさしい言葉で伝える」ようにするのがおすすめです。

例えば・・・

やや難しいやさしい
衝動買いつい買ってしまう
思わずポチる
せざるを得ないするしかない
避けられない
断れない
躊躇する迷う
あれこれ悩む
踏み切れない
なりかねないなってしまうかもしれない
なる心配がある
容赦なく手かげんせず
遠慮なく

なお、上表の「やや難しい (左側)」「やさしい (右側)」の言葉の意味はぴったりイコールではありません

読者層や記事属性、前後の文などに合わせて言葉を選ぶ必要があります。

場合によっては注釈 (簡単な説明) を。読者はその言葉を調べるために離脱してしまうかもしれませんので。

ポイント2. 同時使用を避ける

例1.「よろしければ」と「ぜひ」

NG例文

よろしければぜひ読んでみてください。

「よろしければ」と「ぜひ」は押しの強さが違うため、同時に使われていると違和感が。

ねね

どっちなんだい。

「よろしければ」はソフトにお勧めするとき。

ことり

よろしければお読みになってみてください。

▼「ぜひ」は言葉の意味そのまま。絶対。是が非でも。激推し。猛プッシュ。

ことり

ぜひお読みください!

例えば、おすすめしたい記事があって内部リンクを貼る場合。

おすすめしようとしている記事は、誰かの役に立ちたいと考えてお書きになったものでしょう?

そんなときは、「よろしければ読んでみて」ではなく、「ぜひ読んでみて」を使うとよいです。

ことり

ぜひ自信を持って勧めてあげてください!

例2.「約 (およそ)」と「程度 (くらい・ほど)」

「約 (およそ)」と「程度 (くらい・ほど)」は同義。いずれか一方でOKです。

NG例文

30%程度

ことり

30%

もしくは

ことり

30%程度

いずれか一方でOK。

ポイント3. 誤字・脱字・衍字 (えんじ) に注意する

※「衍字」は「脱字」の反対で、本来は不要な文字のこと。

校正者・校閲者と違い、通常、自分で書いた文章の誤字・脱字・衍字というのは見つけにくいもの。

以下のような対策を。

  • デバイスを変えて読む
  • 日を変えて読む
  • 印刷して読む
  • 家族に読んでみてもらう
  • 声に出して読む

ポイント4. 文を短く切る

一文が長い例としてご紹介するのは、宮沢賢治さんの『ポラーノの広場』の一節。 

十八等官でしたから役所のなかでも、ずうっと下の方でしたし俸給もほんのわずかでしたが、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでしたから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。

宮沢賢治 ポラーノの広場

この一文、92文字あります。

スマホで見ると▼こんな感じ。

「文字だらけ」という印象を与えると、ユーザーはそこで読むのをやめてしまいます。

ブログの文章では、一文 = 40文字以内を目標に。

スマホで見たとき2行半~3行に収まるよう心がけたいですね。

では、先ほどの一文を例に取って実践してみます。

ことり

ひとさまの執筆なさった文章ですから、意味を変えないよう気を配ります。

「(わずか) でしたが、」を「(わずか) でした。しかし、」に置き換え、2つに切ってみました。

After1

十八等官でしたから役所のなかでも、ずうっと下の方でしたし俸給もほんのわずかでした。(41文字)

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでしたから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。(54文字)

まだ長いので、さらに分けてみます。

After2

十八等官でしたから役所のなかでも、ずうっと下の方でしたし、俸給もほんのわずかでした。(41文字)

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでした。(30文字)

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。(26文字)

ポイント5. 読点の位置に気を配る

こちらの例文に再度ご登場いただきます。

十八等官でしたから役所のなかでも、ずうっと下の方でしたし俸給もほんのわずかでしたが、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでしたから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。

宮沢賢治 ポラーノの広場
ことり

読点 (、) の位置が少し気になりますね。

Before

十八等官でしたから役所のなかでもずうっと下の方でしたし、俸給もほんのわずかでした。

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでした。

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。

ことり

読点 (、) を自然に読める位置に移動しました。

After

十八等官でしたから役所のなかでもずうっと下の方でしたし、俸給もほんのわずかでした。

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでした。

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。

ポイント6. 漢字とひらがなを適切に使い分ける

Before

十八等官でしたから、役所のなかでもずうっと下の方でしたし、俸給もほんのわずかでした。

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでした。

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にはたらきました。

After

十八等官でしたから、役所のでもずうっと下のほうでしたし、俸給もほんのわずかでした。

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでした。

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快にきました。

漢字を「ひらく」=ひらがなで表記するほうがよい場合もありますし、漢字を使ったほうが読みやすくなる場合もあります。

ことり

オウンドメディア=個人ブログの字遣いに正解はありません

ブログの雰囲気や、対象とする読者の層、また漢字の多少や前後の文章などによって、それぞれ最適解が異なります。

ポイント7. 送り仮名に気を配る

Before

十八等官でしたから、役所の中でもずうっと下の方でしたし、俸給もほんのわずかでした。

しかし、受持ちが標本の採集や整理で生れ付き好きなことでした。

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快に働きました。

After

十八等官でしたから、役所の中でもずうっと下の方でしたし、俸給もほんのわずかでした。

しかし、受け持ちが標本の採集や整理で生まれつき好きなことでした。

だから、わたくしは毎日ずいぶん愉快に働きました。

以下は現代風の言い回しに変えた最終形です。

After

私は十八等の下級官僚でしたので、安月給でした。

しかし、幼いころから好きだった標本の採集や整理を担当させていただいたので、仕事はとても楽しく、充実していました。

重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが・・・

生まれつき標本の採集や整理が好き」な人はおそらくいないと思われるので、ちょこっと修正しています。

ポイント8. 箇条書きに統一感を持たせる

この記事の目次▼を「箇条書き」の例として取り上げてみます。

語尾を動詞で統一しました。

「~とよい」「~のがおすすめ」「~べき」の形で表現したかったからです。

割とよく見かけるのが以下のような箇条書き。

よく見るパターン

  • 難読漢字や難しい言葉・表現を避ける
  • 同時に使わない
  • 誤字・脱字・衍字(えんじ)に注意
  • 一文を短く
  • 読点の位置に気を配る
  • 漢字とひらがなの使い分け
  • 送り仮名に気を配る
  • 箇条書きに統一感を持たせる
  • 吹き出しの上手な使い方
ことり

悪くはないんだけども、一貫性が欲しいですね。

美しく整った文章でなくても、言いたいことはちゃんと伝わります。

ただ、こういった細かい点にも気を配ることができるようになれば、読みやすさ・伝わりやすさは格段にアップすること間違いなしです。

目次も、本文中の箇条書きも、読みやすさ・伝わりやすさが重要であるという点では同じ。

また、モバイルファーストの観点から、箇条書きのひとつひとつの項目はできるだけ短くまとめることも大切です。

おまけ:よく聞くが実は誤用

誤用正しくは
既成観念既成概念
固定概念固定観念
難易度が高い / 低い難度が高い / 低い
必要性がある / ない必要がある / ない

誤用がそのまま日本語として認知され、「新しい日本語」として地位を築いていくこともあります。

辞書によっては、「元は○○という意味だったが、現在では□□という意味でも使われる」なんて書かれることもあるなど。

だから、「誤用」と断じて斬り捨てるのは少し乱暴かな、とは思っています。

ことり

ただし、鬼添削をお申し込みいただいた場合はバッサリ斬ります。

敷居が高い

「敷居が高い」というのは本来、「相手に対して過去に何か失礼を働いてしまったため、顔を合わせづらい」心理状態を表します。

「難しそうで何となく敬遠してしまう」意味でよく使われますが、これは誤用です。

ことり

・・・「誤用」としない辞書も存在するかもしれません。

割愛 (かつあい) する

よく見るのは以下のような文章。

まずはプラグイン〇〇をインストール&有効化します。

※ インストール&有効化の方法は割愛します。

「割愛」は仏教用語で、「愛着を断ち切る」という意味。

本来、「(ただ) 省略する」場合には使わないのです。

ことり

気になる言葉を見つけたら追記していきますね。

ことり

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「書けない」×「集まらない」をなくす。

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